東風ブログ☆山渓逍遙

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help リーダーに追加 RSS 7/19/2008 八敷代川支流 「十滝沢(とうたきさわ:仮称)」から男甑・基部へ

<<   作成日時 : 2008/08/23 13:14   >>

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はじめに
丁山地の秋田・山形県境にまたがる双耳岩峰の「甑山」、そしてその4キロほど西にも、「加無山」(山形県真室川町)という、これまた双耳岩峰の山がありますが、この間を、真室川から分かれて北へ、そして県境の大森山の西部へと突き上げる川、それが八敷代(はっしきだい)川です。
これまで、丁山地南面の沢歩きとしては、4年ほど前に入った小又川・左俣(雁唐滝見物・遡下降)ぐらいで、今年こそはどこか手頃に遊べる沢にでも…と、しばらくぶりにその界隈の地図を広げてみたら、ある部分に目が止まりました。それは、八敷代川の支流で、加無山の登山口の近くから分かれ、甑山の男甑の基部の西側にせり上がる沢の、そのほぼ中間部にある、等高線の詰まった部分(c340〜440)でした。ここには「何か」(もちろん「滝」)がありそうだと思いました。入渓地点は登山口だし、上り詰めたところは、男甑の基部の登山口の辺りだし、アプローチ抜群でラクそう…、中身さえ伴えば、お誂え向きの沢コースとなりそうです。

それでは、とさっそく下調べにかかります。まずは、新庄の山仲間筋から入手してあった「もがみの滝群ガイドマップ」を見ると、略図ながら、それらしいところに…、あるある、「十滝」という滝マークが…。しかも、写真(長靴のおじさんが点景で写っている)つきで…、「(「標高差が」…筆者注)100m以上のゆるい流れを、十段になって曲がりながら流れ落ちる秘瀑」…と。次に、「加無山・甑山マップ」の2万4千図という詳細な地形図を見ると、ドンピシャ、その等高線の詰まったところに、「十滝」との表示が…。 これでは、近々登ってみなければと、さらにWEBでの探索にと入って行きます。…沢の遡行記録のようなものはなかなか出てきませんが、「十滝」で検索すると…、あったぁ!…1件だけ、しかも詳細な記事が…。山形の風景の写真を集めたブログの中に収録されていました。写真が得意の方のようで、画像が11(合成写真含む)もあり、滝周辺まで長靴で苦労して辿った記録も添えて…。「十滝」を尾根寄りから、あるいは滝下からと様々なアングルで撮られていました。春先(3月初旬)の記録とのことで、水量もあり、なかなかの迫力です。
モチベーションが一気に高まりました。地図で「そこ」に目をつけたのが7/14、WEBのブログで「十滝」を見つけたのが7/16、そして、仲間と連絡を取り、遡行したのが7/19という、超スピーディな成り行きとなりました。

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甑山・男甑の岩塔「烏帽子岩」<、右奥は前森山
(2004.10.24撮影)











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←男甑山への登りから見る、双耳峰の加無山、
奥には有沢山(2004.10.24撮影)









遡行記
自分は新庄に前泊。19日朝、秋田市からの仲間と及位(のぞき)で落ち合い、車2台で、県道R35沿いの大滝小学校のところから加無山林道に入る。1台を遡行終了地点である、男甑・基部の登山口近くにデポし、もう1台で少し戻り、三差路経由で入渓地点の加無山の登山口に向かうという算段だ。ただ、営林筋から得た事前情報では、加無山林道の三差路から男甑の登山口までの途中の、2/3ぐらい行った所に、昨年の豪雨で道路が削られ狭くなったり、路面がえぐられて、溝状になり、通行困難で危険なところがある、ということだった。果たしてその地点は、そのような状態であったので、無理せず、そこに1台をデポ。遡行終了地点からの戻りは20分ぐらい歩けばよい、と見た。これら、甑山・加無山周辺はひところは熱中して通った、懐かしい、曽遊の山域。土地勘は残っていたようだ。三差路から三階滝支線林道に入り、三階滝入口の標識を左に見て間もなく、加無山の登山口に着く。紅葉マークの軽自動車が1台止まっていた。釣りだろうか…。
滝見の場合は、登山口からさらに林道が延びていて、そのどん詰まりに広場があり、そこから支流入れば早く滝に着けるようだが、我々は沢の出合から入ろうと、登山道をそのまま下るが、出合に着く前に目的の沢がすぐそばに接近してきたので、そのまま入渓することにする。誰も通らないからだろう、先行の自分はクモの巣払いで忙しい。川原状を20分近く歩くと右側の土手に広い踏跡がある。登ってみると、大きい広場になっている。さっきの登山口から続く林道のどん詰まりだろう。それからもまた、相変わらずの、緩やかな流れの川原歩き、単調だ。高度計を時々見ながら進む。c330を過ぎ、そろそろかなと思うころ、前衛の滝と思われる斜瀑の滝が現れる。7mぐらいはあるだろうか、節理の階段状の滝で登りやすい。爽やかなシャワークライムを楽しみながら登る。これから現れる「十滝」の前衛としての資格は充分だろう。期待感は膨らむばかり…。

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前衛、節理のナメ滝

程なくして、滝の流れる音とともに、前方に大きな滝が現れる。幅広の(広いところでは10mはあるだろう)大きい滑り台状の、スラブのナメ滝だ。…すばらしい!滝下から大まかに、滝が4段(1段で15mぐらいだろうか…)になっているのは見えるが、その先は右上の方に折れ曲がっていて見えない。十滝、というように、本当に、このさらに上に、あと6段も滝が続くのだろうか…。ブログの写真と比べると、時期的にも水量は少ないので、優しい感じもするが、スラブの大きさからくる迫力はナカナカのものだ。水量があったらさぞかし、と想像する。でも単調な川原歩きの後の、この景観。仲間共々、来て良かったー、と思わず見交わす、ほころぶ顔と顔。
実のところ、いつもながら、斜傾の滝を下から撮った写真を見ると、いかんせん、あまりにも実際と違って写るのには、もどかしく、つくづくガッカリさせられる。今はデジカメの時代だから、その場ですぐに比べられるので、なおさらそう思う。沢に限らず、雪山の斜面でもそうだが、下から見上げて撮ると、実際の傾斜よりも、かなり緩く写ってしまうのだ(見下ろした場合も同じ)。滝下から滝を目一杯画面に入れようとすると、広角レンズでなければならないが、その代わり、広角レンズだと、その遠近誇張効果で、遠くのものがかなり小さく写ってしまい、傾斜が見た目よりだいぶ「ゆるく」見えてしまうのだ。
また、前述の「もがみの滝群ガイドマップ」には、「ゆるい流れ」と書いてあるが、それは、滝見鑑賞者が、数多く見ている直瀑の滝などと比べた場合の感覚的表現であって、沢登りをする我々が登る対象として見た場合は、決して「ゆるい流れ」とは言えない。それに、ホールドの豊富な垂壁よりも、のっぺりしたホールドの少ないナメを登る方が、難しい場合だってある。この傾斜、見た目以上に大変なのだ。
1段目の滝は難なくクリア。2段目は左岸の乏しいブッシュとか、草の根をつかみながらの登り。途中の傾斜の緩い部分をトラバースして右岸へ移る。そこから、ナメのホールドを拾い、3段目の上に出る。そして、右岸のブッシュを伝いながら、緩めの4段目を越える。この4段目の滝が、下から見て右上に折れ曲がって見えなくなる部分だった。

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「十滝」最初の、「スラブ多段ナメ滝」


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そして、5段目は…?…ない、なかったのだった。一旦は平床となり、やれやれと一息をつく。…そして現れたのは、今登ってきた、スラブの平滑な滝とは似ても似つかぬ滝だった。

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「十滝」2つ目の滝、名付けて、「海苔巻きおにぎりの滝」


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左岸の巻きから撮影、正面から見るより、かなり立って見える→








相方は、おにぎりのような形だというが、黒いから、さしずめ海苔をを巻いたおにぎり、というところか…。苔が着いて黒い滝もあるが、ここのは岩そのものが黒い。水しぶきの白とのコントラストもナカナカで、しばらく見とれてしまう。
それにしても、スラブのナメ滝が、そのまま延々と続き、十段の滝となっているとばかり思い込んでいたので、意外だった。だが、「変化」という面からいえば、新鮮な驚きでもあった。
ホールドが豊富で取り付きやすいように見えたので、少しばかりトライしてみるが、詰まってクライムダウン。高度差もあり(15mぐらいか…)、金物は持ってきていないし、ノーピンで上まで登り切る自信はない。…用心用心。
実は、楽に巻けそうなのは最初から分かっていたので、左岸から巻き上がることにした。十滝というくらいだから、まだまだ滝は続くのだろうと思いながら…。
そして、巻き上がってすぐ目の前に現れた滝は…?
目の前に現れた滝は…、こんな滝だった。

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「十滝」3つめの滝、名付けて、「薄衣の滝」

なかなか端麗。バックの黒に、水流の白さが映え、まるで薄衣をまとった艶やかな貴婦人を傍らから見るような…。15mぐらいはあると思われるこの滝は、右岸から巻いて登った。この滝の上にあがって初めて、この十滝といわれる滝の連続がここで終わっていることがハッキリと分かった(高度計はジャスト430mを示していた)。
結局、十滝というのは、実態としては、スラブ4段の滝と、さらにその上の2つの滝から成っていたのだ。 4段の滝プラス2滝だから、3滝か…。4段の滝を無理やりに4つの滝として見たてたとしても、6滝だ。初めてこの滝を下から眺めた人が、4段目の滝の上の方にも、どんどん滝が続いているようなので、確かめることもなく、十滝としたのではないだろうか。まぁ、でも、それはそれでよいだろう。すでに固有名詞化しているわけだから。

十滝の上流は、左岸は切り立った崖状、対照的に、右岸はなだらかな地形のブナの原生林となっていた。 等高線も広がりゆるやかな登りとなるので、十滝の下流と同じように平凡なのかと思いながら進んだが、小振りながら思いのほか滝が出てきたりして飽きることなく楽しむことができた。その多くが、黒い節理状、階段状の滝であった。

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カツラの巨木(最上地方は、巨木の宝庫だ、いたるところに出現する)



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前衛の滝同様、これまた同種の節理の滝。薄暗くて低速シャッターになったが、ブレたのは流水だけ。




加無山林道に抜け、男甑の登山口のスペースで、沢で冷やしてきた黄金色の飲み物を味わいながら、この小さい沢旅を反芻し、しめくくる。
登り口は草がボーボーと生い茂り荒れた感じであった。林道の通行困難な状況が、男甑の登山口から甑山に登る人のいないことを物語っていた。
20分ほどの歩きで車デポ地点に着く。加無山登山口で車を回収したあと、最寄りの新真室川温泉へ。汗を流し、次回の山の打ち合わせののち解散、北へ南へとそれぞれ向かう。



後記(余談)(2008.10.27.)
この十滝のある沢の正しい沢名を知りたいと思い、そのあと、最上の山々に詳しい山仲間、地元M山岳会のS氏に聞いたところ、営林関係にでも聞かないと分からないな、とのことだった(現在も不明である)。そのとき、私が十滝を、「じゅったき」と言ったら、彼は、ああ、「とうたき」ね、といったので、地元ではそう呼ぶことがわかり、正しい呼び方であることがわかった。それに、「とうたき」のほうが、素朴で、親しみやすい呼び方だし、なるほど、とも思った。

S氏は冒頭の「はじめに」でもとりあげた、「もがみの滝群ガイドマップ」、「加無山・甑山マップ」の監修者でもあるので、当然この十滝にもすでに行っているのだろうと思って話してみたら、意外にも、まだ行っていない(それ以外のところは全部行ったが)とのことだった。とてもいところだから、ぜひ行ってみたらと私からも勧めておいた。
はたして、その後8/4に会の仲間数人で出かけたようだった。奇しくも、同じ日に、私は与蔵峠の奥の方まで、偵察に入っていた(ブログ:08/10/2008中野俣川・入渓前偵察山行)が、下山後、羽根沢温泉で汗を流し、新庄方面に車を走らせていたら、突然彼から私のケイタイに、今、十滝を終わって、梅里園(温泉)にいるとのことだった。どうして分かったのか、想定外だったが、結局新庄の会の集会所で落ち合い、反省会そして二次会にまでお付き合いすることになってしまったのだった。ところで、十滝はどうだったか、と感想を聞いたら、「とてもよかった、皆満足していた」とのことだった。めでたし、めでたし…。

(以上)



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